四国唯一の大手ビール工場として誕生
地域の雇用から観光面にも足跡残す

アサヒビール㈱四国工場長(理事)

山口 一郎(やまぐち・いちろう)さん

1961年4月24日生まれ、57歳、東京都出身。北海道大学農学部農芸化学科卒。
現職には昨年3月着任したが、四国工場が開設されて2年目の時に一度赴任した。信条は「鶏口牛後」。子供の頃から城好き。(週刊愛媛経済レポート2018年9月10日号掲載)

アサヒビール四国工場(西条市)は1998年6月に操業を開始し、20周年の節目を迎えました。

四国に大手ビール会社の工場はここにしかありません。工場を作るからには販売活動に力を入れ、どこよりも売れる地域にしたい、という思いでした。20年間やってこれたのは、アサヒビールが地元のお客様に受け入れていただいたということだと思いますし、感謝しています。今後30年、40年と地域のみなさんに愛される工場であり続けたいと思います。
 

出荷エリアは四国でしょうか。

19年間四国4県だけでしたが、昨年4月から広島県の東半分のエリアも四国工場から出荷しています。今まで広島の東半分は大阪にある吹田工場、西半分は九州の博多工場から出荷していました。しかしドライバー不足などに伴い、四国工場から出荷した方が好ましいと判断しました。

四国工場の特徴を教えて下さい。

当社は全国に8つのビール工場がありますが、四国工場は2番目に新しい工場で、缶や瓶、樽などフルオプションの製造機能を持っています。神奈川工場が一番新しいですが、それは東京工場を閉鎖しての移転、茨城工場も東京の吾妻橋工場の移転です。四国工場は全くの新規操業なので、それらの工場とは意味合いが違います。

現在の生産量はいかがですか。

昨年は大瓶に換算すると777万ケースです。縁起の良い数字です(笑)。大体10万㌔㍑位で、この工場のキャパシティのぎりぎりくらいですね。
生産量は、四国4県のメインの商品以外に期間限定商品や全ての工場では作らないような限定商品などもあります。四国工場で作った商品が売れると、四国4県以外にも配送しますので波はありますが、大体年間8万㌔㍑で推移し、広島分が増えて10万㌔㍑に増えました。

生産のラインナップを教えて下さい。

スーパードライが全体の半分弱位を占め、8品種がマックスになります。メインで作っているのが4種類あって、残りの4種類程が新商品などです。

四国工場にはアサヒビール園が併設されていますね。

ビール園があるのはこの西条と博多、神奈川、北海道と福島の5工場です。ビール園は人気がありますので、多くの方に来園いただいています。また、ビール園では、新商品など色々なビールを紹介していますので、ぜひ、飲みに来ていただきたいですね。

ビール園の来場者数はいかがですか。

年間で7万人くらいですね。私がここに来て驚いたのは色々な方に何度も利用していただいていることです。歓送迎会などでご利用いただくことも多いようです。地元に密着しており、地域の方からするとビール園の隣にビール工場があるというような認識ですね。みなさんにとっては工場よりもビール園の方が大事かもしれません(笑)。

工場見学も活発です。

工場見学者は8万人程で、お知り合いが来られた際、ビール園や工場見学に来ていただいているのかなと思います。あとは四国の中心にあるので、観光でお立ち寄りいただいたりしています。茨城、神奈川とここは最初からお客様に見ていただくことを前提に作った工場です。四国は比較的コンパクトな工場で見学通路が一直線なので、一番見やすい工場だと思います。工場の設備の並びも見学を前提に作っています。

地域に溶け込まれていますね。

西条市には良質な水が豊富にあります。また、四国4県それぞれに配送したり、しまなみ海道を利用して中国地方に出荷するには、ここがベストです。我々はそういう意識でここを選びましたが、地元の方にも我が町にはビール工場があるんだぞと、思っていただけたらありがたいです。

力を入れられていることは何でしょうか。

ビールは同じ味で工業製品のようなイメージを持たれていると思います。ワインは天候によって味が変わるとよく言われますが、実はビールもそれとほとんど一緒なんです。農産物を使って酵母という微生物の力を利用して作っているものなので、本当はロットごとに味が違っても不思議ではないものです。でも、麦の出来が悪いから味が今一つというわけにはいきません。我々は同じうまさを保つために常に努力し続けていかないといけません。

その最たるものがロングラン商品の「スーパードライ」で はないでしょうか。

スーパードライ発売から31年になりますが、ずっとみなさまに愛飲されている商品ですので、ちょっとでも味が変わると、お客様にご満足いただけません。我々が飲んでも差がないものを作り続けなくてはならないということは、トップブランドとして非常に気を付けていることです。

四国工場で働いている方は何人でしょうか。

グループ会社を含め、この工場に毎日出勤しているのは約200人で、地元の人が多いですね。この工場ができた時に高校を卒業して入った方が今メインになって、38~40歳位の層が多く、他の工場に比べると働き盛りの方が多いですね。

四国工場は環境保全にも力を入れられていますね。

ビール製造は、水の使用量が非常に多く、質も非常に大事になります。ビールの原料となる麦やホップにも欠かせません。少しでもお役に立てればということで水源地の保全活動に参加させていただいています。水源地が石鎚山の麓にありますので、年2回草刈りなどの活動を行っています。工場近隣のゴミ拾いも行います。会社全体としてはグリーン電力を活用したり、広島県の庄原市と三次市にアサヒの森という社有林があり、その保全活動も行っています。

今後の経営方針についてはいかがでしょうか。

お客様のニーズも多様化していますので、もっと色々な品種が作れるように変えていく必要もあるかと思います。出荷エリアはその時々の状況によって変わりますが、瀬戸内海を挟んで大きな市場がありますので、そんな地域にも供給していけたらいいなと思います。

改めて抱負を伺います。

ビールは鮮度が命で、CMなどでもお伝えさせていただいています。以前愛媛県の医師会さんに呼ばれて講演させていただいたのですが、新しいビールと古いビールがどれくらい味が違うのか味比べをしていただいたら、みなさんこんなに違うのかとびっくりされていました。当社は鮮度が大事とずっと言い続けており、今後も訴えていきたいですね。工場見学施設やビール園も併設しており、新鮮なビールが飲める場所です。そこでビールのおいしさを今一度確かめていただきたいです。

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