経営者インタビューやのくにこさん

野菜料理家で6次産業化プランナー
食を通じ地域活性化、生産者振興を追求

FoodDesignアトリエやの代表

やの くにこさん

1966年4月25日生まれ、52歳、東京都出身。「小説を書くのが好き」で、2009年には「坊っちゃん文学賞」の最終審査まで残った。信条は「人間万事塞翁が馬」、「災い転じて福となす」。(矢野邦子)

やのさんは野菜ソムリエ上級プロであり、「食」を主体に県内各地で様々な活動を行っていますね。

私は料理教室の講師、食品会社や飲食店のレシピ開発、6次産業化の商品開発などを行っています。食で地域活性化を目指す人たちのお手伝いですね。料理教室はここ花園町で行う他、大手企業やえひめ文化健康センターのカルチャー教室で定期的に行い、依頼により食育イベントや市町村の健康料理教室なども開いています。また、料理教室の隣の工作室で押し花やフラワーデザイン、粘土細工で作品を作るクレイクチュールも行っています。実は料理よりもこのフラワーの方を早く始めたんですよ。

これまでの経緯を伺います。

元々は証券会社に勤めており、自分が今のような仕事をするとは思いもしていませんでした。結婚して愛媛に来たのですが、主人が太ってしまったんです。減量から夜ご飯を野菜だけにしてみようと野菜料理をたくさん作ったところ、2年で15㌔㌘の減量に成功。それで野菜は健康的に痩せられる力があることを知り、この2年間で自分が作ったレシピを伝えたら喜んでもらえると思って、2008年に料理教室を始めたのです。

反響はいかがでしたか。

ご主人の糖尿病やメタボが心配だけど、野菜料理といってもサラダ、温野菜、煮物以外に思いつかないという方が大勢来られました。難しい料理は続かないので、私が伝えるのは簡単レシピで作れる野菜料理です。料理人の手の込んだ料理は自分で作るにはハードルが高いですよね。私は短い時間で健康的で見栄えのするレシピにしています。例えば焼き野菜はオリーブオイルで焼き、おいしい塩をつけるだけで素敵な一品になります。
そうした活動を重ねていると、銀行から私の仕事は6次産業化プランナーの仕事なので登録しませんかと打診され、県につないでいただき、県から6次産業化プランナー・ビジネスプランナーとして委嘱を受けました。ただ、プランナーや商品開発を目指してこの仕事を始めたのではなくて、主人の減量のために野菜料理を作っていたら色々な方から頼まれるようになり、商品開発や食による地域活性化につながってきました。

「FOODEX JAPAN2014」で金賞を受賞されました。

マダイの骨をペースト状にしてホワイトソースを作りました。捨てるはずの骨からだしの効いたすごくおいしいものができて、金賞を受賞しました。身近にあるものを使って取り組み始めたら色々な結果が残りました。イリコの商品開発では松前町でブランディングの話があり、イリコにカラフルな野菜の粉をまぶしたら面白いと、イリコと野菜のベジで「ベジリコ」という名前で販売してはと提案し、大ヒットしました。私は商品開発を消費者目線のこうしたらいいな、あればいいなという発想を形にする感じで取り組んでいます。

プランナーとしての実績は。

私の名前は表には出ないことが多いです。丸ごと食べられるアジにバジルの味付けをしたり、ハモを使ったB級グルメを考えたりと、アドバイザーとして裏方の仕事です。価格設定や販売方法をアドバイスすることもありますが、消費者目線で、どれくらいの価格でどこで買うだろうかと考えます。各地で取材活動を重ね、知らないことを知らないと言い、叱られることもありますが、弱みは強みだと思って活動しています。農業・漁業などの生産者と生活者・消費者をつなぐ架け橋との思いです。
また、料理教室では農業者がどういう思いでどのように作っているのかを伝え、食べて農家を応援するという思いから生徒さんに教えています。地元の食材を使って調理して食べることで消費して、農家の収益につながる。そうした活動が(名刺記載の)フードトレンドクリエーターという肩書に集約されています。

素晴らしい活動ですね。

愛媛の豊富な食材を使い、トレンドは流行ではなくて今まさに世の中が必要としているものを企画・提案し、誰かが必要とした時に行動しようと付けました。食育フェスタや企業などで講演したり、八幡浜の柑橘を使った教室を開いたり、ラジオでお話したり、JAさんと農業番組の企画を一緒に考えて出演したり、食に関することを私のできる範囲でやっています。

地域活性化にはどのような思いですか。

農産物は消費しないと耕作放棄地が増えていきます。食糧自給率云々言っていますが、自分たちが調理して食べることがなくなっていけば、売れないので生産者は作らなくなってしまいます。農家支援とか地域活性化というと生徒さんも構えますが、地元の食材を使うことを心掛けるだけで耕作放棄地の対策になっているのだと、伝えています。そんな思いが根底にあります。
私は自分たちの健康や野菜不足解消だけではなくて、地域の健康や活性化までつなげようと取り組んでいます。ただ、正直申し上げてこんなに時間がかかって、こんなに儲からない仕事はありません。見た目は華やかに見えるかもしれませんが、野菜や果物を使って何度も自分で試作して、それをレシピにあげてみんなに教えるという見えないところに時間とお金がかかり過ぎてしまいます。でも、私はそういう活動を10年続けられているのですから、この活動が楽しくて好きなんでしょうね(笑)。

やのさんは愛媛大学の大学院に学び農学博士になりました。

昨年3月に愛媛大学の大学院を修了しました。この歳で大学院に通って、修士課程2年、博士課程を3年学び、52歳で農学博士の学位を取得、「6次産業化を伴う地域力経営」という論文を執筆しました。食で地域活性化を地域の方はどのように取り組んでいるのかとか、どんな成功事例なのかというところまで突き詰めました。農学博士としても一層食で地域活性化を目指しながら、生産者と消費者をつなぐ架け橋の役目を追求していきたいです。

やのさんは最近、花園町商店街の振興にも熱心ですね。

農村漁村の地域活性化だけでなく、一昨年9月から地元商店街で毎月第3曜日に「花園町マルシェ」を開催しています。県内各地から生産者に集まっていただき、選りすぐりの農作物や魚、自分たちで作った加工品などを販売しており、毎回7千人を集客しています。花園町商店街を活性化させて、ハブ商店街のように色々な人が集まって、そこに出会いがあって、他の商店街など色々なところに散っていくみたいなイメージです。食で地域活性化というのは色々なところにつながると思って、花園町や地元商店街の活性化のために農家さんなどにも手伝ってもらい、これからも続けていこうと思います。

今後の展望はいかがですか。

今年料理本を出したいと思っています。愛媛新聞で連載をしていて2015年に出版したのですが、4年経ったので簡単レシピで食べて農家応援という本をまたまとめたいなと思います。若い人たちも手に取ってもらえるような、愛媛の野菜はこんなにおいしいということを伝えていきたいと思います。
大きな野望や展望はありませんが、伝えることが一番大事だと思いますので、色々な方に協力していただき、みんなに気付いてもらえるようにメディアや講演会、料理教室で伝えていきたいです。食べることは生きることで、しっかり食べないと体調不良になったり病気になったりします。みんなが夢を叶えるためにはしっかり食べましょうということですね。

 

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