木下ソーイングに入社した経緯を教えてください。
学校を卒業後、今治はタオル産業が盛んなので、タオル関連会社の事務職を中心に就職先を探しました。希望通りに事務職として市内のタオル関連会社に就職することができたのですが、人間関係がうまくいかず退職してしまいました。その後、友人の幼なじみが今の会社の社長の娘さんと同級生だったこともあり、紹介を受けて入社することになりました。
未経験の縫製の仕事に戸惑いはなかったですか。
縫製会社ということを聞いて、今までミシンの経験もないし、学生の頃も飲食店のアルバイトしかしたことがなかったので、最初は自分にできるか不安な部分もありました。あと仕事の内容も大事なんですが、以前の会社で人間関係が上手くいかなかった経験があるので一番に人間関係を重視しました。そうした視点でみるとこんな良い会社があるのかと思うぐらい良い会社だというのが分かり、入社することを決めました。
どういったところが決め手になりましたか。
面接の時に作業場を見せてもらい社内の雰囲気も分かりましたし、社長も自分のお父さんと変わらないぐらいの年齢でしたのですごく話しやすかったです。従業員の年齢層も幅広く、皆さんすごく優しくて良くしてくれて、人間関係が一番の決め手になりました。私と同じ年代の若い人もたくさんいてこの会社にいる理由が良く分かりました。
仕事の内容を教えてください。
ミシンを使って縫製作業をしています。ミシンは手動機と機械が自動で縫う自動機の2つ種類があり、自分に合ったところで仕事をすることができます。私は入社してから手動機を担当しています。
具体的にはどのような作業をしますか。
手動機は名前の通り自分の手でミシンを使って縫製します。タオルハンカチの場合、タオルの生地の周りを数ミリ単位でカットしながら、周囲を縫うメロー巻きと呼ばれる縫製を行っています。そのほかに縫製した糸が花びらや卵型になるものなど巻き方にも色々あります。
あとはネームと呼ばれるタグを付けたりします。小さいタオルハンカチなどは自動機で縫製し、変わった形のベビー用品や毛布等の大きいものなど、自動機でできないものを手動機で縫製しています。
未経験でも縫製はすぐにできましたか。
初めはネームを付けるのも難しかったので、単純に周囲を縫うだけの作業をしていました。ただそれだけではいけないので、ネームを付けたり、タオルの角を丸く縫う場合はその丸の大きさをそれぞれ均等にしたり、そうしたことも段階的に教えてもらいながら形のあるタオルやTシャツ型のタオルハンカチなど、小さいものから大きなものまで縫製できるようになりました。タオルのほかに毛布や防水性のあるものなど、今は薄いものから厚いものまでさまざまな素材の生地を縫製しています。
苦労したことはありますか。
仕事を覚えるまでは大変でしたが、自分の手を使って縫製するので一つひとつだんだんできるようになってきます。周りの人達もゆっくりでいいからとすごく優しく教えてくれます。
自動機と違って手動機は自分でタオルをまっすぐ縫う必要があり、あと仕上がりのサイズも決まっているのでそれを考慮して縫製しなければいけません。縦横何センチメートルで仕上がるようにしないといけないので、カットしすぎても周りを縫製しすぎてもいけないのですが、最初から生地が仕上がりサイズと同じ場合もあります。普通ならカットしながら縫いますが、そうなるとカットせずに縫わないといけないので生地と縫製した糸が外れやすくなります。そうしたことも初めは上手くいかないこともありました。失敗すると一から解いてやり直し、ネームも歪んだりすると縫い直してというのを繰り返していました。
3~4ヵ月ぐらい経つと慣れてきてそこで大体の基礎を覚えてから、色々なタオルを縫うようになります。素材や生地の厚さ、縫い方によって糸の調子もとらないといけないですし、生地の伸縮のことも考えたり、生地を抑えるレバーの調整等も必要になります。今ではある程度のことはできるようになりました。
仕事で楽しいことはありますか。
仕事で得意な縫製もあるのですが、仕事をしながらたまにみんなで会話をしたり、笑いながら仕事をするのが会社にいて楽しいと思えるところです。自分のお父さんやお母さんと同じ年代の人もたくさんいるので話しやすいし、すごく居心地が良くて本当に楽しいです。もちろん仕事でみんなで協力しながら作業をしたり、これまでできなかったことができるようになると達成感もあります。
社内の雰囲気はどうですか。
社長が社員のことをよく気を遣って見てくれていますし、社員同士のコミュニケーションも良いです。従業員が良くても社長がだめということも友達の話できくこともあるのですが、この会社は逆にいいねと言われます。社長が一番良かったと思いますね。
これからの目標を教えてください。
手動機の縫製は数枚から何百枚単位でそれらをローテンションするので、自動機も手動機も楽な仕事ではないと思っています。これからも色々なタオルがでてきますし、その度にやり方を覚えて次にきたときにすぐできるように覚えることはまだまだたくさんあります。
あと一つの生地をずっと縫っていると次に別の生地を縫う場合に、手の感覚が違うのでネームを付ける際に慣れていても失敗することがあります。そうしたところも経験を一つひとつ積んでいければと思っています。
学生にメッセージをお願いします。
自分の夢やしたいことがあるならそれをやるべきだし、それがだめでも次を見つければいいと思います。今治はタオル産業が盛んで、タオルに絞っていうとタオルの仕事にも染めたり、タオルを織ったり糸を巻いたり縫製をしたり、事務や営業など色々な仕事があります。
やりたいことが無くても何かしていれば、自分にとってやりがいのあることはいつかみつかると思います。私自身がそうで、私も縫製がしたいから縫製しているのではなくて、ただ単に会社に入って自分でもできる、すごく楽しいと思うようになり今に至っています。自分の手が器用だとも思っていなかったですし、何にでも自分にできることは一つや二つあると思います。
木下ソーイングに向いている人は。
タオルの縫製は気を付けないといけないことも多く、細々としたことをやるのでそれができる人であるということと、あとは基本的なことで言われたことをきちんとできれば大丈夫だと思います。経験がなくても一つひとつ教えてくれるので、未経験の人も心配する必要はないですね。
企業DATA
有限会社木下ソーイング
- 本社
- 愛媛県今治市国分2-3-15
- TEL
- 0898-48-4078
- 設立
- 1994年7月
- 従業員数
- 35人
- 代表者
- 代表取締役社長 木下 誠
- 事業内容
- タオル製造販売業
- 新卒採用実績
- 2021年度 1人/2022年度 0人/2023年度 0人/2024年度 0人/2025年度 5人予定