インターナショナルホテルにリブランド
地域密着の骨格生かしながら世界標準に

ANAクラウンプラザホテル松山 常務取締役 総支配人

山下 正純(やました・まさずみ)さん

1959年10月11日生まれ、59歳、松山市出身。1982年松山総合開発㈱入社、2012年料飲・宴会部長、13年取締役総支配人、15年現職。「ハチドリのひとしずく」という南米の民話を引き合いに「こつこつと水を落とし続けることの大切さ」を心に期す。

昨年11月、「ANAクラウンプラザホテル松山」にリブランドされました。

運営会社の松山総合開発㈱は1978年に設立され、翌年の11月に「松山全日空ホテル」を開業しました。以来、39年にわたって地域を代表する〝迎賓館〟として役割を果たしてまいりました。今回、時代の変化や顧客ニーズの多様化に対応するため、世界100ヵ国に5500のホテル・82万6千室を展開する、IHG(インターコンチネンタルホテルズグループ)とフランチャイズ契約を結び、昨年11月1日に愛媛初のインターナショナルホテル「ANAクラウンプラザホテル松山」として新たな一歩を踏み出しました。

改めて抱負はいかがですか。

クラウンプラザは世界で最も成長しているホテルブランドの一つで、日本国内では20ホテルを展開しています。クラウンプラザへのリブランドとそれに伴うグローバルスタンダードの導入は、新しいステージへと進化するための重要なステップであり、地域経済にもたらす機能や役割をアップデートするものです。今まで以上に皆様に愛されるホテルになりたいと思います。

年末年始の繁忙期を終えて手応えはいかがですか。

改めて実感したのは、地元のお客様の大切さです。忘年会やクリスマス、お正月の家族利用、同窓会など様々な形で地元のお客様にご利用いただきました。当ホテルのブランドは地元のお客様に支えられており、松山全日空ホテル時代に培ったお客様からの「信頼」は、リブランドした現在もかけがえのない財産になっています。地元に密着するという骨格は継続し、リブランドにより更に満足していただきながら、海外にも視野を向けたいと考えています。

大きく変更された点は。

宿泊に付随するサービスを拡充し、利便性向上を図っています。客室の標準アメニティとしてご用意するスリープアドバンテージは、睡眠のプロセスに複合的にアプローチした、クラウンプラザのオリジナル快眠プログラムです。ご宿泊いただく全てのお客様に「記憶に残る睡眠」をお届けします。ご宿泊のお客様はホテル内のフィットネスジムを24時間いつでも無料でご利用いただけ、ルームサービスも24時間対応です。

施設面はいかがでしょうか。

リブランドを迎える前にホテルのメインバンケットであるダイヤモンドボールルーム、スイートルームを始めとする一部客室、ロビーと、ご宿泊のお客様にご利用いただく朝食会場、和装婚礼用の神殿をリニューアルしました。今後も段階的に客室などのリニューアルを行う予定です。お客様の多様なニーズにフレキシブルに対応してまいります。

注力する業務やサービスは。

ベースは安全・衛生を管理する業務が第一と考えています。リブランドに合わせて厨房自動消火システムを各厨房に取り付け、防火システムを強化する対策を講じています。国内の消防法ではそこまでの規定はありませんが、世界水準で安全に力を入れています。お客様用エレベーターもカードでフロアに止まるセキュリティシステムを入れました。
サービスは、マニュアルがありますので、それをベースにサービスのスタンダードを上げてまいります。今までの業務に一つおもてなしをプラスしています。私どもは人と人とのコミュニケーションがとれるホテルです。お客様との触れ合いを大事にしてまいります。

リブランドに対する従業員の意気込みはいかがですか。

リブランドに伴う変化を一同ポジティブに受け止めており、モチベーションは非常に高いです。私どもは前身時代から39年間、この地で数多くのお客様にホスピタリティを提供してまいりました。常に目指したのは、お客様の期待を超えた感動です。その伝統を継承するホテリエ(ホテルスタッフ)たちのサービスとクラウンプラザのグローバルスタンダードの融合、それによってもたらされる感動で愛媛、松山をブランディングする、そのような大きなチャレンジ精神を抱きながら日々お客様へのサービスにあたっています。

リブランド後の客室の稼働率はいかがですか。

これから実際に数字が動いてくると思います。11月のリブランドの効果が出てくるのは半年後です。

一方、松山を中心にホテルが増えていますね。

非常にポジティブに捉えています。松山エリアに新たなビジネスホテルの開設が相次ぎ、道後ではより付加価値の高い施設にリニューアルする動きが活発です。そこにインターナショナルホテルとして生まれ変わった当ホテルが加わることによるシナジー効果は、地域のブランド力を高め、愛媛、松山を訪れる観光客の増加に寄与するものと考えています。

時代や人を取り巻く環境も大きく変化しています。

AIを始めとするテクノロジーの進化に注目が集まる一方で、現代人を取り巻く新たな脅威として情報過多によるストレスやSNS疲れが指摘されます。それらの反動として、これからは身心の健康や気持ち、価値観といった人間性が尊重される時代へ移行すると思われます。また、デジタル化の進展は世界中全てのマーケットにおいてビジネスに変化をもたらしました。同時に働き方も変化しています。自宅やカフェ、旅先のホテルにおいてデジタルディバイスを使って仕事する光景も珍しくありません。

その中でこれからのホテルのあり方をどのようにお考えですか。

ホテルには「宿泊する施設」としての機能だけでなく、宿泊という体験そのものの価値を向上させる機能が求められています。お客様が休息し活力を取り戻すことからインスピレーションを得たり、仕事の生産性を上げたりすることまでの、お客様のそれぞれの総合的なニーズに注目しています。これからのホテリエにはお客様の個人としての側面に目を向け、人間味溢れる心遣いによりお客様の旅を快適なものとする力が求められています。

インバウンドについてはどのようにお考えでしょうか。

訪日外国人が右肩上がりで増加するなか、松山市内への外国人観光客も増加しています。今後東京オリンピックに向けて更なる増加が見込まれる外国人を、愛媛、松山に誘致すべく主体的な役割を果たせればと考えています。私どもはこれまでも香港や台湾など近隣アジア諸国からの団体ツアーも積極的に誘致してきましたが、旅行のトレンドは団体旅行から個人旅行へとシフトしています。パートナーであるIHGが持つ世界規模のネットワークや会員組織を活用し、個人の訪日客へのアプローチを強化していきたいと思います。

近隣商店街との連携は。

先日も弊社と松山三越様、アエル松山様とANDFOURというイベントを行いました。今後もこうした取り組みは行いたいと思います。宿泊目的にはビジネスや観光がありますが、ショッピングもまち歩きもあると思います。ホテルから大街道まで三越を通り抜けて行ける、このコンパクトな距離感はすごい魅力だと思います。

改めて「ANAクラウンプラザホテル松山」の地域における役割・使命について見解を。

地域創生にも関わっていきたいと考えています。ホテル商品を通じた地域の独自性の発信はもちろんですが、地域創生とは民間企業、行政、市民が一体となってブランディングしていくものです。そのために必要な人やもの、情報が集積するサロンのような役割を果たしていきたいと思います。

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